五本指

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前回の記事で、大竹伸朗や落合陽一など現代芸術家のお噺を書きながら、已己巳己の思考ロジックに影響を与えた人について考えていた。

まったく参考になる生き方の人はおらず、レゴブロックだけが人生の師なのか。

ふと、高校時代に衝撃を受けた人のことを思い出した。「松本人志」である。

小学校時代から、口が達者だったのでお笑いではクラストップの人気を博していた已己巳己は、当時「夢で逢えたら」という大阪から出てきたばかりのダウンタウンやウッチャンナンチャンが登場するコント番組に夢中だった。深夜番組ではあったが欠かさず見ていたあたり、笑いのアンテナは今考えてもすごいと思う。

当時、ダウンタウンに初めて触れた多くの人は、ダウンタウンの笑いを「シュールな笑い」と評していた。説明が難しいのだが、全く想像もしないところに飛ばす笑い。AからBへ流れるはずのところを、XやZまで一気に飛ばす一見意味不明な落ち。後に、松本人志も已己巳己がボロボロになるまで教科書として読んでいた吉田戦車やいがらしみきおのファンであるとわかったが、「伝染るんです。」や「ぼのぼの」のような笑い。

高校時代になり、已己巳己以外にもお笑いが好きな連中が増えてくる。已己巳己を一方的にライバル視する界隈は、だいたい松本人志に憧れ、みんな「意味不明な飛ばし落ち」を真似していた。

そんな時、ダウンタウンが日曜のゴールデンタイムにやっていた「ごっつええ感じ」で、「フーさん」というコントが流れた。ご存じの方もいるだろうか。長髪の松本人志が包丁片手に他人の家に入ってきて「殺す、殺す、お前を殺す。」と言いながら夫婦に大喜利のお題を出す。夫婦役の今田耕司とYOUがそれに答える。回答が面白くないと「殺す、お前を殺す。」というコント。

その中で「レコードデビューが決まったヤクザ、5人が集まってグループを結成、そのグループ名とは」というお題にYOUが「五本指」と答えて、松本人志が大爆笑しながら「フィンガー5ともかかってるんやな、おもろい、お前おもろい」というシーンが出てきた。

鳥肌ものである。決して、彼らはただただ意味不明な落ちに着地させているわけではなかったのだ。しっかりと「かかり結ぶ落ち」があるのだ。その衝撃の後、松本人志が擦り切れるほどにテープを聞いたという、落語の世界に已己巳己もハマっていく。

おそらく、これが、未だにデータ活用でディシジョンツリーなどを組む時のディレクションや、様々な領域でのDXを考えるときに、活きている。

ただただ未来、ではなく、その自治体が、その企業が、そのデータ群が、全く別の価値を発揮する。ただ、しっかりと、大本の遺伝子や歴史・文化背景は大切に色濃く匂う。そんな次世代化のシナリオ創りを大事にしている。

ダウンタウン+が始まるらしいが、彼らの過去のDVDや、吉田戦車、いがらしみきお、古典落語に新作落語から「落ち」を学ぶというのも、あらゆるコンテキストが見直されている現代において、大きな価値をもつのでは、というお噺。

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