空き家問題のDX

※サムネイルの写真と本文は、全く関係ありません。

日本全国の自治体DXに関与してみて、だいたいの地域が課題を持っていながら、解決に至っていないのが空き家問題である。

偉そうなデジタル系コンサルがこの問題について語っている講演などを見ても「そこらの不動産サイト的なものしかできないな、それでは」という低レベルな解決策しか示されていない。

実は、空き家問題で扱われる「空き家」というのは、そういった不動産サイトに出せないような空き家を指しているのだ。実際に、地方の空き家バンクなどを見てみて貰えればわかると思うのだが、残置物が非常に多くその整理から始めないと住めない家が圧倒的なのである。

残置物と言うとイメージがつきにくいが、トイレにタオルがかかっているまま、玄関に大量の靴、台所には洗って乾かしたままの食器類、敷きっぱなしの布団に、室内干し中の衣服。そう、つまり、何らかあって、昨日までいた人がいなくなったままの家。それが空き家問題で指すところの「空き家」なのである。

世界的に有名なリゾート地の隣りにある町。そこは1000軒近い空き家があり、町としても困っているという。実際に拝見してみると、それはもはや、単なる事故物件(自宅で亡くなっているかは定かでないが、いきなりこの状態で家主がいなくなったという事実からそう感じる)なのだ。これだけず太い已己巳己でも、ここで一晩過ごしたら泣いてしまうだろうレベルで生活臭がすごいのである。

「最低限のヒト・カネ・モノで解決する」ことが目的で、そのために「デジタル」があると考える已己巳己は、即座に、0円で数億円は生むだろうアイデアが浮かんだ。

「暗夜」という事故物件を買い取り宿泊施設にしている一団がいる。そこと手を組み、空いている空き家全てを宿泊施設化した「サイレント・ホラー・タウン」を作れば良い。そうすれば、これら残置物は、もはや、片付けられては困るものに変わる。一切、コストがかからないのである。

その町の隣は、リゾートホテルしかないエリアである。外国人の多くは、昭和の匂い漂う大型ホテルより、民泊などを利用した宿泊を望むし、日本のサイレントホラーは世界的にも有名であるから、あえてこちらの地で宿泊しようという外国人も相当数に及ぶことは容易に想像がつく。

「住民に受け入れられるとは思えない」という、現場担当の情けない理由でその企画は進まなかったが、10FEETが主催するフェス「京都大作戦」だって、最初の数年は地元住民から相当な反発があったと聞く。それが今では町を上げてのイベントとなった。

サイレントホラータウンだって、1年も続けていれば、高齢化した住民が夜中に自腹で変装グッズを買い「昨日のガイジンさんは、泣いて腰抜かしてもうた」と自慢し合うほど乗り気になるに違いない。

こういった企画があって、ただ、これを安全安心に少人で執り行うために、リモートカメラや鍵、位置情報や心拍・転倒などを把握するためのウェラブルなどのデジタルツールが必要となる。デジタルなど、ツールに過ぎないということがよく分かる企画である。

他自治体でも話をしてみたが、気骨のある職員がいない。もちろんいきなり「タウン」レベルで広範囲にやらなくても、数軒だけ解放してやってみれば良いと思うのだが、みなさんの周りにご興味・ご感心のある方はいらっしゃないだろうか。

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