タウンマネジメント活性化のDX

※サムネイルの写真と本文は、全く関係ありません。

日本全国の自治体DXを体感してきたが、どこもかしこも、そっち系の連中が盛り上がっているだけで、住民が高く評価しているところを見たことがない。

自治体だけでは難しいということで、産官学がまとまり、200〜300を超える規模となる団体を擁する地域も少なくない。

解決策ははっきりしている。ここに参加している人たちはITやデジタルに精通しているか、もしくは興味があるそっち系の人たちだけだから盛り上がらないのだ。YouTubeを開発したエンジニアと、映像配信系エンジニアだけで、YouTubeがここまで盛り上がるだろうか、絶対に無理なのだ。

まず、その地域に住む108人の、頭がイカれた住民を集めることが重要だ。彼ら、彼女らを、デジタル推進のためのディレクターとして縦横無尽に活躍できる環境を作ろう。熱量のあるディレクター無きところに、マネジメントなどすることが無い。杭が出まくって初めて、マネジメントやらガバナンスの重要性が出てくるのだ。

例えば、とある都道府県では、データ連携基盤やデジタル推進に課題を持たれていた。導入はしてみたけど、現場がそもそも利活用のイメージを持てていない。数百社の企業や大学、そしてほぼ全ての市町村が参画するコンソーシアムもうまく機能せずどうしていいかわからないという。

試しに、都道府県のデジタル担当者にパーソナルな興味分野を聞いてみた。「私は虫が好きです」と言う。

それなら「虫」に特化したデータ連携基盤を作ってみれば良い。昭和に比べ虫集めなどしなくなった地域の子供に見つけた「虫」を撮影して送信してもらう。送信に合わせて、子供はステーブルコインなどでトークンを受け取る。「虫」画像のメタデータにある緯度経度や時間をプロットしていく。これが大量に集まれば、農林水産に係る害虫の発生予兆モデルにもなるし「益虫」の減少推移などから、森林や水場環境などの整備も早めに対応できる。画像をNFT化して、全国的に展開すればポケモンGOのように、その地域でしか発見されない「虫」画像は高額なトークンで取引されるし、「撮影(採取)」するために人も多く訪れるだろう。子供むけの観光施設が無いと嘆く市町村も多いが、子供など「ダンゴムシが死ぬほどいる」というだけで、1時間程度は平気で遊んでいるわけで、いくらでも観光資源を作ることができる。已己巳己は虫に詳しくないが、虫好きな連中が数人集まればこれ以上にいくらでもアイデアが出続けることだろう。

地元にいる、こういった熱量のある人材を、煩悩の数程度集め活躍の場を作れば、自ずとタウンマネジメント、データガバナンスなどの必要性も出てくるはずだ。

やる気のないYouTuberを集めたり、YouTuberがいない状況で、マネジメント会社を設立しても意味が無いのと同じことだ。

いかんせん、そっち系、ITやデジタル系の人材というのは「面白くない」のだ。あくまで、ITやデジタルは基盤であり、ツールであり、バックエンドのものであるから、舞台装置側の人材なのである。ステージに上がれる様々な志向性を持つ住民が先導する「いい街化、唯一無二化」があって、はじめて彼らの出番が出てくる。それが、真のDXなのだと思う。

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