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日本全国、民間や自治体のDX模様を見聞して回る機会が多かった。どこもかしこも、システム開発に課題を抱えている。事例紹介やら講演会などで「成功しました!」とクライアントが取材に応じたりしてるが、あんなもの、クライアント側の担当者からしても「1億かけて大失敗でした!」とは誰が見ているかわからないところで言えるはずもない。ほぼほぼ、うまくいってないのが現状だと思う。
よく、HOWではなくWHYを大切に、と言うし実際に已己巳己もそう話していたが、これはどうやら本質ではないようだ。
WHOとWHOMが全く話に上がらない。これが失敗している1番の原因である。
構造語である中国語や英語は、主語と目的語を明確にする。しかし、構節語である日本語はこの主語と目的語を明確にしない。構節語はハングルに代表されるように他の国にもあるのだが、日本語は状態動詞(助動詞として扱われている)が基本の「ある・いる」言語であるので、主語や目的語の省略ではなく最早存在すらしていないことが多い。
例えば、「データのセキュリティリスクが高まっている」という日本語には、動作主の主語と受け手となる目的語がない。「Many people have a high level of data security risk.」「is rising」で状態動詞として書くこともできるが、あるいる言語である日本語は、英語に直すとhaveなどが当てはまる場合が多い。これは主語と目的語を明確にするために動作動詞が背骨となっている英語の特徴でもある。
なので、クライアント側も、システム開発側も、誰もこの主語と目的語を固めない。これはアクター図やフロー図が書けないとか一部の仕様書が作れないとか甘いとかそう言う次元の話ではない。
そもそも、そのシステムを通じて行われる何らかのタスクは、法令・規制・ガイドラインなどに則った形で行われるわけで、それらルールは全て動作を行う主語、主体に対して適応される。まあ非機能要件と言えばそうなのだが、これは他の要件とは異なり、主語となる主体がどこまでのリスクを許容してビジネスを行うかと言う前提の話である。
さらに、主語や対象となる目的語も定めず「できるだけたくさんの人に」などとなるから、UIUXも中途半端に誰も使わない低レベルなものとなる。ターゲットが絞り込めれば「大胆に削り取る」こともできるのだが、結局機能てんこ盛り状態になることばかりだ。
とどのつまり、主語と目的語、WHOとWHOMを明確に定義するというのは、システム開発とかそういった次元の話ではなく、新規で何かに取り組む時、特に日本語が持つ特徴ゆえにダダ漏れると意識した方が良い。というお噺。