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若林恵。元WIRED編集長で、今は黒鳥社を設立し、コンテンツディレクターを名乗られているが、実質若林さんが好き放題やられているようである。
簡単な略歴。
コンテンツディレクター/自由研究員
平凡社『月刊太陽』編集部を経て2000年にフリー編集者として独立。以後、雑誌、書籍、展覧会の図録などの編集を多数手がける。音楽ジャーナリストとしても活動。2012年に『WIRED』日本版編集長就任、2017年退任。2018年、黒鳥社設立。著書『週刊だえん問答 コロナの迷宮』(黒鳥社・2020年12月刊行)、『さよなら未来:エディターズ・クロニクル 2010-2017』(岩波書店・2018年4月刊行)、責任編集『次世代ガバメント:小さくて大きい政府のつくり方』。「こんにちは未来」「働くことの人類学」「blkswn jukebox」「音読ブラックスワン」などのポッドキャストの企画制作でも知られる。
NHKの番組で、宇多田ヒカルが対談相手に選んだのも若林さんで、デジタル領域だけでなく、音楽など様々なカルチャーにもめっぽう精通されている。
そんなことを何も知らない前職時代、デジタル事業の立ち上げがうまくいき暇になってきた時、たまたま何かのWEBサイトでイスラエルの最先端テックに触れまくる「WIRED REAL WORLD TOUR」という企画を目にした。
その前年、社会保障審議会で京大副学長の西村周三さんや、東京医科歯科大学で医療経済学教授の川淵考一先生、日本におけるマクドナルドハウスの設立を指揮された西村由美子さんたちとシリコンバレーのヘルステック企業を数多見学するツアーに参加していた時、企業名が読めないベンチャーが多くあったことに気づいた。川淵先生に聞くと、「ユダヤ系、ジューイッシュな企業名だね。シリコンバレーのテックベンチャーはユダヤ系が多いんだよ」とのこと。そのあたりからイスラエルには興味があった。
しかし、よくよく見ると申込期限が一週間過ぎている。価格も一人百万円を軽く超える。3秒くらい考えたが、どうせ多少余裕を持って締め切ってるだろうし、そこまで集まりもしないだろうし、ここまで数億単位で新規事業によって売上貢献したきた已己巳己であるから経費で落とせるなら行けるだろうと申し込んでみるとやはりまだ申し込めた。費用も会社が持ってくれるという。この頃はWIREDという雑誌のことなど何も知らず、いわんや若林さんのことなど何もわからずイスラエルへと旅立った。
シリコンバレーを訪れた際は医療系のみの軍勢だったが、今回はWIREDの企画なので医療に特化したものではない。大手システム開発会社や広告代理店など錚々たる企業の方々や、なんの仕事をしているかわからないがお金もちな社長さんなど多岐に及ぶ。医療系であれば多少、デジタル系でもマウントを取れるくらいの引き出しは持っているが、流石に日本の最先端を行くWIRED購読者、デジタル系最先端の人々。しかも、なんだかすでに仲が良さそうな感じもあって、隅で大人しくしていた。
1日目の夕方、地中海を見渡すレストランで参加者の顔合わせをする夕食会が開かれた。当然のように端の席に座り、それでもいたたまれず外でタバコを吸っていると、隣に日本人で同じツアーに参加しているであろう方が来てタバコに火をつけた。伸び放題でぐちゃ付いた髪に無精髭、歯も数本無い。早稲田時代に高田馬場駅周辺で寝ている方々を多く見かけたが、遜色なくそっち系の方に見え、なぜこんな人がWIREDツアーに参加しているのかわからず、なるべく目を合わせないようにしていた。
しばらくして、その彼から話しかけられ、名刺を交換すると、なんとWIRED編集長と書いてある。先程までイスラエルに降り立った余韻、テルアビブの混沌とした独特の空気、人生初の地中海などに浸っていたのだが、あまりの衝撃に我に返りぎこちない自己紹介をする。すると、彼も早稲田大学出身で、已己巳己の先輩であることがわかった。バンカラ、自然主義、サブカルチャー。早稲田文学というものを擬人化したら、当にこんな人になるのだろうなと妙に納得し、そこから色々なお話をさせていただくことになった。
イスラエルのツアーは、とても刺激的だった。当時の記事がまだ残っているから、詳細はこちらに任せよう。
https://wired.jp/branded/2017/10/19/israel-tour17-report
イスラエルは、剥き出しのテクノロジーを素のままで売る。それは、秋葉原のラジオ会館よろしく、パーツとして最先端のテクノロジーがところ狭しとならんでいるような光景。それをシリコンバレーのベンチャーなどがパッケージング化してプロダクトを創り上げていく。テック系のビジネスは、最早グローバルレベルでの分業が進み、日本だけでピーチクパーチクしている場合ではないのだと強く感じる旅だった。
様々な企業から参加者が集うツアー、シリコンバレーもイスラエルも、最終日に至るあたりには已己巳己が中心にいたりする。これは、他の参加者より何かしら秀でたものがあるわけでもない。とにかく、他の参加者が人見知りで、真面目で、つまらないのだ。数日、夜の飲み会を過ごすと、已己巳己は酒が弱いのもあるが、参加者どころか、主要メンバーのお偉方、地元の外国人も巻き込んでお祭り騒ぎにしてしまう。「マーケティングが得意」と言うなら、眼の前にいる連中くらい盛り上げられずにどうすると思う。企業の看板で生きていくとこういうことができないどころか、ただただこちらの盛り上げを見てそれなりに楽しんでいたりするから、驚く。
帰国してすぐに、若林さんが会社と喧嘩してWIREDを辞めた。その時に書かれた「さよなら未来」はとても名著であるので、ぜひ見てみてほしい。
この本を見てから、DXを推進するコンサルタントとしてウフルに入社できたのは運が良かった。ちょう大手のコンサル企業やシステム開発会社が参入している大企業や政府・自治体とのコミュニケーションにおいても、デジタライズは手段であってそこだけでやったところで、明るい未来が来るわけではない。その姿勢や視座から、已己巳己が提案する企画を面白いと採用いただいたクライアントが多数ある。
つい最近、ウフルが社外向けにAI関連のイベントを打つこととなった。ウフルの専務も若林さんのファンであること、ウフルの本社と徒歩1分くらいに若林さんのオフィスがあるということから、已己巳己経由で講演のお願いをしたところ、快諾いただいた。
久しぶりに若林さんと色々な会話をする機会もあり、特に最近流行の生成AIまわりの捉え方が已己巳己ととても近いものだったので、とても嬉しくなった。グローバルレベルのデジタライズ化を追いつつも、哲学から音楽、サブカルチャーまでど文系の領域にも深い見識を持つWIRED編集長。その彼と話ができるだけでなく、話が合っている瞬間というのがたまらなく嬉しくて、光栄な時間だったりする。
東京大学大学院の大澤先生の噺にも通じるが、どこまでデジタル・データなどの最先端テクノロジーに精通していようと「人間の本質」というものが、結局のところ一番大切なのだと已己巳己が確信しているのは、この二人との出会いがとても大きい。
若林さんと盛り上がった生成AIまわりの今後、というのは、次にまとめようと思う。